マリインスキー・バレエの「白鳥の湖(チャイコフスキー)」を観に行ったのだ




 記事の更新がなかなか追いつかない今日この頃。
 11月21日に、大阪のフェスティバルホールで開催されたチャイコフスキーの「白鳥の湖」を観に行って来たよ。
 オペラは観に行ったことがあるのだけど、バレエは初めて。ちなみに観に行った理由は、その少し前に映画館で『ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏』を見て、バレエも良いなと思ったが故でございます。


 個人的な感想としては、オペラと違って台詞がないから、目の移動が忙しくなくて良いな、と。オペラだと台詞の日本語訳が両端のモニターに出るので、それを見ながら舞台を見るという視線の移動距離が割と大変。
 そしてバレエは想像以上に股関節と足首に悪そうだなーと。着地の時の音が重い。まぁでも、音がするってことはエネルギーが消費されたってことで、その分だけ体への衝撃は和らいでいるわけだけれど。
 加えて、マリインスキーの歌劇場管弦楽団の演奏が上手い。凄い上手い。『ボリショイ・バビロン』では冒頭のフルートの音がかなり下手くそだったので、劇場付きなんてそんなものなのかなーと思っていたのですよ。正直、舐めていたわ。
 以下、あらすじ。



・第一幕
 ジークフリート王子(ウラジーミル・シクリャローフ)の成人を祝う宴に、友人達が集まっていた。その場を道化(ヤロスラフ・バイボルディン)が盛り上げる。
 一方、その騒ぎに不満顔なのが王子の母親たる王妃(エカテリーナ・ミハイロフツェーワ)だ。ジークフリート王子は母親に花を贈り、機嫌を取る。代わりに王妃は王子に弓を贈るのだった。
 宴が終わり、一人になった王子は庭に。そこで見た白鳥たちに導かれるように、王子が辿り着いた先は森の奥。そこに現れた一際美しい白鳥に、王子は先ほど贈られた弓を向けるのだが、しかし王子の目の前で美しい白鳥は美しい娘に変身する。
 この娘こそは白鳥の女王オデット(アナスタシア・マトヴィエンコ)。彼女たち白鳥はみな元は人間だったのだが、悪魔ロットバルト(コンスタンチン・ズヴェレフ)の魔法で姿を変えられてしまったのだ。その魔法を解く方法はただ一つ、献身的な愛だけだ。
 オデットに心を奪われたジークフリート王子は、彼女に愛を誓う。最初は不審げだった彼女だが、徐々に彼に心を許すようになった。
 だが無情にも朝日が二人を引き裂いてしまう。オデットが人間の姿でいられるのは、夜の間だけなのだ。

・第二幕
 またしてもジークフリート王子のために宴が開かれた。だが今度は王子の成人祝いではなく、王子の花嫁を決めるための宴である。
 そのために集まった国中の貴族の娘たちが、王子に微笑みかける。だが既にオデットに心を捧げた王子に、一体どうして他の娘を選ぶことなど出来るだろうか。
 その時、もう一組の客が現れた。悪魔ロットバルトとその娘のオディール(アナスタシア・マトヴィエンコ二役)だ。悪魔はその力で、オディールをオデットそっくりの容姿に変えていた。
 ロットバルトの目論み通り、王子はオディールをオデットと見間違え、彼女を妻に選んでしまう。

・第三幕
 事の次第を知ったオデットと、白鳥の娘たちは深く悲しむ。だが悪魔の策略に気が付いた王子は、オデットの元に駆けつけ、彼女に捧げた愛が不変であることを誓うのだった。
 オデットを己の魔法から解き放ちたくないロットバルトは、黒鳥たちを使い二人を引き離そうと画策する。だが諦めを知らぬ王子は、ロットバルトの羽を毟り取り、ついには勝利を収めるのだった。
 朝日が二人の上に昇る。だがもうオデットが、白鳥の姿に戻ることはない。
 


 日本公演の主役オデット・オディール役は本来はヴィクトリア・テリョーシキナだったのだが、出国直前に病気が判明し、急遽アナスタシア・マトヴィエンコに変更されたとのこと。
 との内容を開演前にユーリー・ファテーエフ舞踊監督/バレエマスターが挨拶をしていたが、この人のロシア語は聞き取りやすい上に、良い声。だが聞き取りやすいとは言ったが、聞き取れたとは言っていない。

 主役を演じたアナスタシア・マトヴィエンコの演技は流石なのだが、個人的なお気に入りは悪魔ロットバルトと道化。
 悪魔の衣装、凄く良い。かっこいい。頭の羽が最後に毟られるのかとわっくわくしていたのに、毟られたのが腕の羽で、勝手に一人でガッカリした。
 悪魔役のコンスタンチン・ズヴェレフが舞台に登場するだけで場がピリッとする存在感も素晴らしい。
 道化役のヤロスラフ・バイボルディンは、この人、凄い跳ぶよ! 初めて登場した時には、思わずヒィッと変な声が出た。



 想像以上に感動したので、同じ「白鳥の湖」のDVDを買ってしまった。複数のバージョンがあり、この劇場でだけの先行販売のものもあったのだが、ロパートキナのを購入。
 そしてオペラグラスを忘れたので、会場で買う。マリインスキー劇場とロゴが入っているが、しかしそこはロシア語にしておいて欲しかったぞ。



 ちなみにこの「白鳥の湖」、プティパ=イワーノフ版のが120年前にマリインスキー・バレエで上演された、このバレエ団にとっては由緒ある作品だそうな。
 現在演じられているのは、プティパ=イワーノフ版に手を加えたセルゲーエフ版とのこと。こちらももう65年も現役な、バレエの世界では珍しいご長寿なものらしい。
 しっかし「白鳥の湖」って本当に人気があるんだなー。会場に居た子供たち、たぶんバレエを習っているのだろう、が凄く感動していたよ。



 そういやボリショイ・バレエの来日公演はないのかなーと思って調べてみたが、少なくとも大阪に来る予定はないようだ。
 その代わり、ライブ・ビューイングが日本でも上映(と言うのか?)されていた。11月11日から。
 ……もう既に「ジゼル」と「くるみ割り人形」が終わってしまっていたぜ!
 ボリショイ・バレエ in シネマの公式サイトはコチラから。

 ちなみにライブ・ビューイングとは、どこかの会場で上演されているものを映画館で生中継するというもの。
 なかなか行けない遠くの会場で開催されるイベントでも、近くの映画館で見られるのが利点。加えて映画館なので、大きなスクリーンと優れた音響で体験出来る。
 ただ「ライブ」と銘打っている割に、ヨーロッパやアメリカでの公演の場合、時差の関係のせいか日本では生放送ではなく録画放送になることが多い。
 そして近くの映画館と書いたが、都会の大手の映画館でしか放映されないことが多い。でもアメリカの現地に行くよりは圧倒的に近いですし……。
 


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