映画『妖婆 死棺の呪い』


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 聞き取れたぜ、"не знаю"の一言だけが!(それで良いのか)


 休暇に入った神学生ホマー(レオニード・クラヴレフ)は、行く先々で軒を借り歩く身軽な旅の途中で、道を間違え荒野へと出てしまう。人家が無ければ借りる軒下もない。食べ物も酒もない!
 野宿を避けたいホマーの一行が必死で見つけ出したのは、みすぼらしい農家。
 渋る家主である老婆(ニコライ・クトゥーゾフ)に頼み込み、泊めてもらったものの、奇妙な条件をつけられてしまう。それは寝る場所は一人一人別だというもの。
 嫌な予感でもしたのだろうか、その夜のホマーはなかなか寝付けない。夜がただ無意味に更けゆく中、どこからともなくホマーの前に現れた老婆が、なんと彼に迫ってきた。
 抵抗も虚しく、魔女の箒代わりに空を飛ぶのに使われてしまうホマー。この老婆、実は魔女であったのだ。だが隙を突いて魔女を振り落とし、手元にあった棒で滅多打ちにすることに成功する。
 ついに息絶える魔女……と思いきや、なんといつの間にか若い娘(ナターリア・ヴァルレイ)へと姿が変わっているではないか!

 想像を絶する事態に、休暇中にも関わらず神学校へと舞い戻ったホマーであったが、恐怖はまだ終わらない。
 土地の有力者が瀕死の娘のための祈りを、ホマーに依頼して来たのだ。指名されるほどの実績など皆無なホマーはいぶかしむが、断れるはずもない。
 しぶしぶ向かった先で彼を待っていたのは、件の美人、彼が滅多打ちにした老婆であった美少女。彼女はホマーの到着を待たずに死んでいた。
 その死を知って胸を撫で下ろしたホマーだったが、彼女の父親である地主に、娘のために墓で三晩祈って欲しいと頼まれてしまう。
 断固拒否するホマーだが、地主は更に強固な態度でホマーに勤行を強制する。逃げ出す努力もむなしく、ついにホマーは教会の中で娘の死体と二人っきりの三晩を過ごす羽目となる。

 さてさて、ホマーの行く末やいかに?




 途中でやけくその余りにコサックダンスを踊りだすホマーが可愛い一作。
 一応は神学生、更には夜の勤行の最中は聖書にしがみ付いている有様なのにも関わらず、神への信仰ではなく「俺はコサックだ」を心の拠り所にしてしまうのも面白い。
 けれどもこのホマーさん、父親どころか母親も不明で(このシーンで"не знаю"が何回も出てきたよ)、家柄が皆目分からないお人なんですけどね。


 この映画は、ゴーゴリの短篇小説『ヴィイ』を原作とする作品。原作と比べると、ホマーに同情しやすくなっている印象。
 日本ではテレビの深夜帯のB級ホラー枠でデビューしたらしい。そのせいで、邦題がかなり意味不明に。
 色々と規制の厳しかったソ連時代に製作されたものだが、原作がゴーゴリ&卒業制作として出発したためか、かなり自由かつ楽しげに作られていて面白い。ホラーだけれど、なんだかほっとする謎の一作に仕上がっている。

 どうしてこんなにほっこりするのかと考えてみたが、夜の勤行に登場する妖怪?悪霊?たちは凄くチープで、いっそ可愛いせいかもしれない。
 死体役(?)のナターリア・ヴァルレイがすごい美人さんなのと、彼女もまた何だか楽しそうに演技をしているせいもある……かな。



 2013年12月発売の新しいDVDの方には「解説リーフレット」が付属しているだとか何とか書いてあるものの、ただの二つ折りの紙なのであまり期待しないであげてください。
 この解説リーフレットよりも一緒に封入されている商品カタログの方が立派です。

 そうそう、そのカタログで『巨匠とマルガリータ』のDVDのお手軽価格版が出ているのを知った。

巨匠とマルガリータ《IVC 25th ベストバリューコレクション》 [DVD]
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 気にはなるが、収録時間499分ってところがちょっと……。
 これって映画ではなくて、テレビドラマの『巨匠とマルガリータ』なのかな。かつてドラマ版があったと聞いたことがあったような。
 Amazonの商品説明の欄に「ロシア国内最高視聴率 58.6% 最高製作費8.5億円」とあるし。
 あれ、製作費が凄いぞ。テレビドラマの規模じゃない気もしてきた。

 
 

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